防災科学技術研究所と情報通信研究機構、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局、名古屋大学、福岡大学、気象庁気象研究所、日本アンテナの研究グループは、西日本で夏に頻発している線状降水帯を予測するため、九州で水蒸気観測を始めた。発生のメカニズムを解明するとともに、水蒸気観測データ配信サービスの民間事業化を目指す。
内閣府によると、研究グループは長崎県長崎市の野母崎地区、鹿児島県薩摩川内市の下甑島にレーザー光で水蒸気分子による散乱光を観測する水蒸気ライダー、長崎県五島市の福江島や熊本県天草市などに上空の水蒸気総量を観測できるマイクロ波放射計、地デジ水蒸気観測機器を設置、6月から本格的な観測に入った。
さらに、7月からは観測体制を強化するとともに、九州の11自治体と共同で実証実験を進め、線状降水帯予測の精度向上を目指している。
線状降水帯は次々に発生する発達した積乱雲が列をなした雲の群れで、強い雨が数時間以上にわたって継続し、河川の氾濫や土砂災害などを引き起こす。災害を防止するためには、数時間先までの雨量を正確に予測する技術の確立が欠かせない。
このため、防災科学技術研究所などは今回の観測で得たデータを大学や研究機関に提供し、線状降水帯発生メカニズム解明の一助としたい考え。さらに、地デジ水蒸気観測データを日本アンテナが配信サービスとして事業化することを後押しする。