マスクメロンの網目模様が、ある共通した幾何学的法則に従うことを、山梨大学の島弘幸教授らの研究グループが初めて発見した。
表面に網目模様(ネット)が入った品種のメロンでは、選別の指標に網目模様が用いられるなど、網目模様と品質の間にある種の相関関係があることが経験的に知られている。一方で、メロンの網目のかたちが科学的に調べられたことはほとんどなかった。
メロンの網目は、成長途中で果肉が膨張することによって表皮にひび割れが生じ、ひびの隙間を埋めるように内部から分泌された物質(スベリン)が固まることで形成される。このようなひび割れ模様は、干上がった田んぼの泥や、老朽化したコンクリートなど、内部からの圧力による類似した破断プロセスで多くの自然現象にも観察できる。果たしてそこに、何か共通した法則は潜んでいるのだろうか。
結果として、本グループは、市販の複数のマスクメロンの網目模様のきめ細やかさを統計的に解析することで、網目で囲まれた果皮断片の面積が、共通の確率分布に従うことを初めて見出した。破片面積分布(ある面積の破片が、全体の何パーセントを占めるか)が、5つのメロン個体でほぼ共通した分布曲線を描いたという。
さらに、この分布曲線は単なる偶然ではなく、球殻構造の破断力学理論から導出される変形ベッセル関数で記述できることも突き止めた。つまり、実験的に導かれたメロン網目に関する法則が、力学的な理論に裏打ちされた科学法則であることが証明されたとしている。
この発見は、将来的にメロンの網目から画像認識によって自動的かつ客観的に品質を判別・評価したり、成熟度を判定する技術に発展することが期待される。