筑波大学医学医療系の田宮菜奈子教授と井口竜太准教授らの研究チームは、医師が患者の自宅へ赴いて診察する救急往診サービスで事前の電話問診の際に緊急度を低く判定してしまうアンダートリアージを避けるため、緊急度を低く見積もってしまいそうな患者を予測する機械学習モデルを作成した。研究チームはこのモデルを実際の救急往診サービスに導入し、アンダートリアージが減るかどうか検証する。
筑波大学によると、研究チームは2018年11月から2021年1月にファストドクター社の救急往診サービスを利用した16歳以上の患者約4万5,000人のうち、約1万9,000人のデータを分析した。
その結果、アンダートリアージの患者は全体の1.6%を占め、平均年齢38.4歳、57.2%が男性と分かった。主な合併症は高血圧と慢性肺疾患で、感冒症状と失神を訴えているケースが目立った。
作成した5つの機械学習モデルのうち、最も性能が良かったモデルでどの情報があればアンダートリアージが起きやすいか調べたところ、高年齢の患者に高血圧、糖尿病、脳梗塞、認知症の合併症があり、感冒症状、頭痛、アレルギー反応を訴えた場合に判定されやすいことが確認された。
ファストドクター社は、患者から電話連絡を受けると、消防庁がまとめた基準に従って緊急度を判定し、6時間以内の受診が必要かつ通院困難とされた患者に対して医師を派遣しているが、一定数のアンダートリアージが発生していた。アンダートリアージが発生すると、病院受診が遅れてその後の病状が重くなる可能性があり、救急往診サービスの課題になっている。
論文情報:【Annals of Medicine】Machine Learning Models Predicting Undertriage in Telephone Triage