大阪大学歯学部附属病院およびサイバーメディアセンター、日本電気株式会社(NEC)は、地域と連

携した新世代の「口の健康増進」を実現する「ソーシャル・スマートデンタルホスピタル(S2DH)」構想の取り組みを開始する。

 現在、超高齢化社会の進展とともに、生涯にわたり口腔機能維持による生活の質(Quality of Life)の向上の必要性や、地域包括ケアの重要性が注目されている。日本では、「かかりつけ医」制度を基点とする地域の医療・保険・福祉機関や専門病院との連携などに取り組んでいるが、医療情報まで含めた包括的な連携は、特に歯科医学分野では、これまで十分な枠組みがなかった。

 そこで、大阪大学は、病院データ、医者の知見などの情報について、最新のICT技術を活用したAIによる高度な情報データ分析と、その共有まで包含した新世代の「口の健康増進」を実現するS2DH構想という新たな枠組みを設置。NECのスーパーコンピューティング技術を基盤と、大阪大学で開発されたAI技術による地域包括的な口腔保健情報サービスの実現を目指す。

 この構想では、歯学部附属病院の診療現場で安全かつ効果的な治療方法をデータに基づいたAI分析によって戦略的に導き出し、患者に治療の選択肢を提供。また、サイバーメディアセンターでは、これまで歯学部附属病院で蓄積してきた歯科医療のノウハウを地域に活かすICTサービスプロバイダとしての役割を担う。これにより、大阪大学全体として、より患者の嗜好に合致した包括的な治療方法を提案し、家庭でも可能な異常の早期発見など、日常的な口腔健康維持に貢献することを目指す。

 すでに三者は具体的な取り組みを始めている。歯学部附属病院では、矯正歯科用、舌粘膜病変、歯の喪失の3領域でのAI活用を、サイバーメディアセンターでは、病院のデータを計算機センターで高速処理するためのセキュア・ステージングの研究開発をNECとともに進めている。これらを基に、2018年度から歯周病AIと一般歯科AIの構築を中心とする実証実験を開始する予定。

大学ジャーナルオンライン編集部

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