文部科学省は国際卓越研究大学法が施行されたのを受け、体制強化の推進に関する基本方針を決定した。大学ファンドの助成などで国際卓越研究大学を積極的に支援するとした内容で、世界から先導的とみなされる世界最高の研究大学実現など3つの目標を打ち出している。

 文科省によると、日本の大学はこのところ、被引用数が多い論文数の世界シェア低下などが続き、研究力低下が問題になっている。文科省はこの原因として資金力の格差が考えられるとして、10兆円規模の大学ファンド運用益から国際卓越研究大学に認定された大学に対し、集中的な支援を進める方針。

 基本方針では、国際卓越研究大学が知的資産の形成や社会的価値の創造、イノベーション創出の拠点となり、世界トップクラスの研究者が集う場所とするなどして先導的とみなされる世界最高の研究大学を実現する目標を掲げた。

 さらに、魅力的な研究環境を構築し、世界の知の拠点となることで世界の学術ネットワークを牽引するとともに、起業家や産業界で働く研究人材を重点的に育成し、イノベーション・エコシステムの中核的存在になることも目指す。これらの実現に対しては手段や道筋が1つではないとして、画一的な取り組みを求めない考えで、従来の手法にとらわれず、体制強化策を立案することを期待している。

 国際卓越研究大学は2022年12月から公募を開始し、2023年3月末に締め切った後、1次審査、2次審査を経て秋ごろに結果を公表する予定。助成開始は2024年度を予定しており、第二期公募は大学ファンドの運用状況等を勘案して段階的に行う。

参考:【文部科学省】大学ファンドを通じた世界最高水準の研究大学の実現に向けて、国際卓越研究大学法に基づく基本方針を決定しました

大学ジャーナルオンライン編集部

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