政府が日本学術会議の改革に向け、第三者委員会の設置などを実現するための法改正を準備していることで、日本学術会議はこれに強く反発する梶田隆章会長(東京大学卓越教授)談話を発表した。学術会議側に説明がないまま、準備が進んでいることも疑問視し、早期に説明するよう求めている。

 日本学術会議によると、政府が学術会議改革で組織の透明性確保と行政、産業界との意思疎通のために第三者委員会の設置を明記するなどの法改正を準備し、年明けの通常国会に提出する方向で進めていることが、11月に報道された。

 政府は2021年、当時の菅義偉首相が学術会議推薦の会員候補の一部を任命しなかったのをきっかけに、学術会議のあり方を検討してきた。当初、政府は2022年夏までに方向を固める方針で、学術会議側は8月の総会で対応を協議することにしていた。しかし、政府の方針が示されなかったことから、政府側に早期の公表と学術会議側への説明を求めてきたが、何の説明もないまま唐突にメディアで政府の方針が明らかにされたとして反発している。

 会長談話は学術会議が2021年4月の総会で自主的に改革案をまとめ、実行に移しているとしたうえで、報道されたような改革案が行われた場合、学術会議の独立性で根幹を揺るがす事態になりかねないとしている。

参考:【日本学術会議】日本学術会議会長談話「日本学術会議法改正に関わる今般の報道について」(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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