US進学総合研究所は、全国の国公私立大学を対象に2023年度入試におけるオンライン活用状況を調査を実施。今回、その結果の一部を公開した。調査は大学ジャーナルオンラインを通じて2022年9月1~26日に実施し、465大学が回答した。

 調査によると、2023年度入試の各選抜においてオンラインを活用している割合が最も高いのは外国人・留学生選抜27.8%、次に大学院入学者選抜24.1%、総合型選抜23.7%。以下、指定校推薦16.1%、その他推薦10.4%、公募推薦9.9%、編入学選抜9.3%と続き、最も低かったのは一般選抜で7.1%だった。新型コロナウイルス感染症の拡大次第ではオンラインを活用するという大学は各選抜で10%前後あり、状況をにらんでしっかりと備えていることが読み取れる。

 オンライン活用率が20%を超えた3つの入試について校種別に集計すると、活用状況が大きく異なる。総合型選抜は国立18.8%、公立14.3%、私立25.1%と、高校生を対象とした入試でありながら私立大学だけでなく国公立大学も高い割合で活用している。外国人・留学生選抜は、国立42.1%・公立7.3%・私立28.9%と、国立大学が高いが、公立大学は低い。大学院入学者選抜については、国立65.1%、公立26.5%、私立14.1%と国立大学のオンライン活用がかなり高くなっている。一方、指定校推薦は私立大学だけが17.0%と高く、高校生対象の入試としては、総合型選抜を中心に指定校推薦においても私立大学がオンライン活用を牽引していくとみられる。

 次に入試でのオンライン活用において大学側が「重要だと感じていること」については、「遠方の学生確保の観点から」(59.9%)、「受験生の金銭的・時間的効率化の観点から」(43.9%)と、2項目の割合が特に高く、特に「遠方からの学生を確保する観点から」の項目は校種問わず全項目の中で一番重要だと感じられている。
「受験生の金銭的・時間的効率化の観点から」「大学DXの推進の観点から」の2項目については、国立大学が特に高い数値となっており、意識が高いことがわかる。「入試業務の効率化の観点から」は他の項目と比較すると数値は低く18.1%で、オンラインを活用することによって効率を高めることを重要と考える大学は少ない。

 一方、「不安だと感じていること」について、不安が50%を超えて大きい項目は「インターネット接続環境への不安」(82.6%)、「不正行為への不安」(76.3%)、「公平性への不安」(64.0%)の3つ。この他、ほとんどの項目で、国立、公立、私立の順番で不安が大きいとの回答だった。授業でZoomなどのオンライン会議システムを使い慣れてきた感のある大学だが、主に高校生を対象とする入試となると、まだインターネット接続環境への不安も大きい。公平性の担保のために、大学に来られない受験生だけでなく、大学に来ている受験生を含めた全員を対象にWeb面接を実施している大学も出てきている。生徒を送り出す高校側としても、Web面接に慣れるように指導していくことも必要になりそうだ。

参考:【ユニバースケープ株式会社】大学入試におけるオンラインの活用アンケート① 

大学ジャーナルオンライン編集部

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