経済産業省は、理工系人材需給状況について、企業、社会人にアンケートを実施し、調査結果を公表した。機械系、IT系等において、「業務において重要な専門分野」が「大学で学んだ専門分野」を上回り、企業のニーズが高かった。
産業界のニーズを踏まえた理工系人材の育成を強化するにあたり、経済産業省は、産業界の人材需給状況と中長期のニーズを継続的に把握する調査を2014年度から実施している。2017年度は、約3,000人の社会人対象のアンケートに加え、理工系採用を行っている企業1万社(回答数1,702件、回収率17.02%)も対象に調査。大卒新卒者の採用状況や今後技術者が不足する専門分野などを調べた。
社会人アンケートで、「業務において重要な専門分野」と「大学で学んだ専門分野」を聞いたところ、機械系、ハード・ソフト、プログラム系等では「業務において重要な専門分野」が「大学で学んだ専門分野」を上回っており、企業のニーズが高いことがわかった。
企業アンケートで2017年度の採用予定人数と採用実績人数を比較すると、全体では採用実績の方が6.8%減少。特に、機械工学、電力、土木工学、ハード・ソフトプログラム系、 食品科学は予定通り採用ができていなかった。
2017年度採用予定人数と2019年度の採用希望人数を比較すると、全体的には採用希望人数が7.7%減少。その中で割合が増加している分野は、人工知能(+125.0%)、統計・オペレーションズ・リサーチ(+90.9%)、webコンピューティング(+84.7%)、数学(+69.2%)だった。
5年後技術者が不足すると予測される分野として回答が多かったのは、機械工学(12.4%)、電力(7.5%)、通信・ネットワーク(5.8%)、ハード・ソフトプログラム系(5.7 %)、土木工学(5.5%)。技術者が不足する理由としては、「他社が当該分野の採用数を増やしているため」(53.4%)が最も多く、次いで 「業界や自社に対する学生認知が低く、応募が集まらず採用に至らないため」(43.2%)、「当該分野を学んでい る学生数が少ないため」(23.4%)と続いた。