慶應義塾大学の滝沢翼専任講師らの研究グループは、片頭痛の新規治療薬CGRP関連抗体薬が、年齢が高く、予防薬失敗数が少なく、免疫系疾患の既往がない患者に効きやすいことを明らかにした。

 片頭痛は有病率が8.4%と頻度の高い疾患。近年、片頭痛の病態に則した予防療法としてカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体薬が開発された。従来の薬剤よりも効果を示すが、比較的高額(3割負担で月々約13,000円)で、注射部位反応や便秘などの副作用も生じうるため、処方の最適化が望まれる。どのような患者に CGRP 関連抗体薬が効果を示すか(レスポンダー)について、これまでに欧米の論文報告はあったが、日本での論文報告はない。

 今回、研究グループは片頭痛で慶應義塾大学病院外来に通院中の患者のうち、CGRP関連抗体薬を開始して3ヶ月以上治療を継続した101名(ガルカネズマブ57名、フレマネズマブ31名、エレヌマブ13名)について解析。治療開始3ヶ月後に、治療開始前より片頭痛の日数が半分以下に減少した患者をレスポンダー、それ以外をノンレスポンダーと定義した。

 その結果、①年齢が高く、②予防薬失敗数が少なく、③免疫系疾患の既往がない患者ほどCGRP関連抗体薬のレスポンダーになりやすい(=CGRP関連抗体薬が効果を示しやすい)ことが明らかとなった。

 今回得られた結果のうち、「予防薬失敗数」については欧米からも既に複数の類似した研究報告がある。「年齢」についてはこれまでの報告と異なる面もあり、また既往歴に関して、過去の報告は少ないため、今後もさらなる検討が必要としている。

論文情報:【The Journal of Headache and Pain】Predicting response to CGRP-monoclonal antibodies in patients withmigraine in Japan: a single-centre retrospective observational study

慶應義塾大学

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