深海に生息するオオグソクムシが1度の食事で6年分のエネルギー摂取できることが、長崎大学水産学部の八木光晴准教授と長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科、信州大学、琉球大学の研究で明らかになった。
長崎大学によると、オオグソクムシは等脚目スナホリムシ科の海生甲殻類。体長は最大で10~15センチに達する。日本の本州中部以南の水深150~600メートルの海底や大陸棚に生息し、雑食性の大食漢で水中の有機物なら何でも食べる。
研究グループはオオグソクムシを小さなカプセルに入れ、カプセル内の溶存酸素減少量について、えさを与えた前後、6~15度の異なる水温下で調べた。その結果、オオグソクムシは最大で自身の体重の45%ものえさを摂取でき、水温が10度上昇すると代謝量が2.4倍増えることが分かった。
この情報から推計した体重33グラムのオオグソクムシが水温10.5度の環境下にいた際、年間に消費されるエネルギー量は約13キロカロリーとなる。仮に体重の45%の量に当たるクジラの脂身を食べたとすると、安静時の約6年分のエネルギーを1度に摂取できる。
オオグソクムシの近縁種に当たるダイオウグソクムシは、水族館で飼育中に5年間もえさを食べずに生きていたことが報告されている。研究グループは今後も調査を続け、オオグソクムシの生態を解明する。