年収210万~370万円以下の世帯で授業料の減免や給付型奨学金支給など大学の修学支援新制度開始後に進学率が上がっていることが、文部科学省、厚生労働省の21世紀出生児縦断調査で分かった。文科省は修学支援制度が学びのセーフティーネットとして機能したとみている。

 文科省によると、調査では保護者の収入金額から世帯年収を算出し、210万円以下を修学支援制度の対象世帯、210万~370万円以下の世帯を準対象世帯と規定、修学支援制度の開始で大学進学率にどのような変化が起きたかを調べた。

 その結果、全世帯の大学進学率は修学支援制度開始前に進学時期を迎えた2001年1月出生児で77.3%、制度スタート後に進学時期を迎えた2001年7月出生児で80.0%と大きな差は見られなかった。

 対象世帯も1月出生児62.2%、7月出生児64.3%と小さな差にとどまったが、準対象世帯は1月出生児61.5%に対し、7月出生児70.7%と統計学的に有意な差が確認できた。特に準対象世帯で高校時代に奨学金などの情報収集を積極的に進めていた生徒が大学など高等教育機関へ進学する割合が高くなっていた。文科省は修学支援制度の内容を積極的に提供し、認知してもらうことが進学率向上につながるとみている。

 21世紀出生児縦断調査は21世紀初年の2001年1月10日から17日、7月10日から17日に生まれた子どもと保護者を対象に追跡調査し、子どもを取り巻く環境の変化などを観察している。

参考:【文部科学省】21世紀出生児縦断調査(平成13 年出生児)特別報告の結果について公表します(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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