千葉工業大学惑星探査研究センターの荒井朋子主席研究員らのグループは、国立天文台、北海道大学らの共同チームに参画し、ふたご座流星群の母天体である小惑星フェートンの表層の物質状態に関して新たな知見を得た。
「フェートン」は(3200)ファエトンとも呼ばれ、彗星に似た特異な軌道を持つ小惑星である。ふたご座流星群のもととなる塵(ちり)を供給した天体であるとされており、地球に近づくこともある。太陽に近づく時期には、いくらかの物質を放出するなど、彗星に近い性質を持つ「活動的小惑星」としても知られている。フェートンは彗星のような小惑星のような性質を持っているため、その天体の表面状態は謎が多く、興味の対象となってきた。
今回、同研究グループは、北海道名寄市でフェートンの偏光観測を地上望遠鏡により行った。その結果、フェートンの表面は、光の反射の仕方がとても特徴的であり、他の太陽系天体と比べても、偏光度が圧倒的に大きいことが分かった。これは、フェートンの天体表面の物質による反射率が非常に低いか、表面にある粒子サイズが大きいためであると推測されるが、実際のところはまだ明らかではない。
この問題の解明を目指し、JAXA/千葉工業大学による探査計画DESTINY+(デスティニープラス:2022年に打ち上げ予定)は、近傍からフェートンを観測する計画を進めているようだ。今回新たに明らかになった表層の物質状態も含め、この天体の謎の解明が期待される。
※画像は国立天文台より引用
論文情報:【Nature Communications】Extremely strong polarization of an active asteroid (3200) Phaethon