神戸大学は2023年4月から大学院医学研究科に医療機器の開発を実践教育する医工融合の「医療創成工学専攻」をスタートさせた。2025年度には医学部に医工融合の新学科を設置するとともに、医療機器開発の新拠点を神戸市中央区港島南町の医学部附属国際がん医療・研究センターに開設する方針。
神戸大学によると、医療創成工学専攻は医療機器の国産化で研究開発のリーダーとなる人材を養成するのが狙いで、医療機器システム学、精密診断治療機器学、体内医療機器学の3分野を置き、第1期生として修士課程15人、博士課程12人の計27人が入学する。
臨床現場での実践教育や医師、工学研究者ら多様な人材の知を結集して年間1~3件程度の医療機器新規開発を目標としている。設置記念の式典とシンポジウムが4月8日、神戸市中央区楠町の神戸大学医学部会館シスメックスホールで開催される。
医学部の新学科は定員25人程度とする方向で文部科学省に設置申請する。新しい開発拠点は7階建て延べ約3,000平方メートルの施設を建築、医療機器研究開発のプラットフォームの役割を果たすため、セミナー室やラボを備える。
日本の医療機器は欧米からの輸入品が主流となり、毎年1兆5,000億円程度の貿易赤字になっている。特に手術室などで使用される高度な医療機器は輸入品頼りが現状で、国産医療機器の開発が求められている。