東京大学大学院の篠崎奈々特任研究員らの研究グループは、日本人成人を対象とした食事記録データから超加工食品の摂取量を調査。超加工食品からのエネルギー摂取量が多い人ほど食事の質が低いことが明らかになった。
超加工食品とは、ソーセージや菓子パン、清涼飲料など、複数の食材を工業的に配合して製造された加工程度が非常に高い食品を指す。脂質やナトリウムが多く、たんぱく質や食物繊維、ビタミン・ミネラル類が少ない。多く食べると食事全体の質が低下する可能性があり、肥満や心血管疾患などとの関連も報告されている。しかし、日本では超加工食品に関する栄養学研究はほとんどなく、超加工食品の摂取量や食事の質との関連はよく分かっていない。
今回の研究では、2013年に日本の20地域(23都道府県)に住む20~69歳の日本人成人388人から得られた4日間にわたる詳細な食事記録のデータを使用。超加工食品の摂取量を調べ、食事の質との関連性を評価した。
その結果、超加工食品からのエネルギー(カロリー)摂取量は1日の総エネルギー摂取量の3~5割程度を占めていることが判明。超加工食品からの総エネルギー摂取のうち、最も寄与割合が大きい食品群は、穀類およびでんぷん質の食品(パンや麺など)だった。また、食事の質の評価尺度(HEI-2015とNRF9.3)により、超加工食品からのエネルギー摂取量が多い人ほど食事の質が低いことも判明した。
今回の研究は、全国規模の食事調査のデータを用いて、超加工食品の摂取量を算出し、食事の質との関連を評価した日本で初めての研究。今後、日本における超加工食品に関連する疫学研究の発展や、公衆栄養政策の決定に貢献することが期待されるとしている。