東京大学大学院 農学生命科学研究科 獣医学専攻と動物医療センターPecoの研究グループが明治時代から蓄積されている動物病理解剖記録を解析したところ、寄生虫を含む感染症例が著しく激減する一方、腫瘍の症例が増えていることが分かった。

 東京大学によると、研究グループは東京大学大学院 農学生命科学研究科に残っている1902年以降の動物病理解剖記録を解析し、明治から令和に至る症例の変遷を調べた。

 その結果、1903~1914年の明治・大正期は犬(44.6%)と馬(34.8%)、1956~1969年の昭和の高度経済成長期は犬(62.9%)とネコ(17.3%)、2006~2020年の平成・令和期は犬(46.0%)、ネコ(26.1%)、エキゾチック動物(20.5%)の病理解剖が多かった。

 病理解剖された動物の年齢中央値を見ると、犬は明治・大正期2歳、昭和期3歳、平成・令和期10歳、ネコは昭和期2歳、平成・令和期10歳と時代とともに高齢化していた。病気の症例は寄生虫を含む感染症例が激減し、腫瘍が増えている。研究グループは獣医療技術の向上とワクチン、抗寄生虫薬普及などから動物の寿命が延びたためとみている。

 1900年代からの動物の病理解剖記録解析は日本だけでなく、世界でも例がない。各時代の社会背景や日本の獣医学の進歩を知るための貴重な資料といえそうだ。

論文情報:【The Journal of Veterinary Medical Science】Chronological transition of necropsy cases of animals in Tokyo, Japan

大学ジャーナルオンライン編集部

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