筑波大学の研究グループは、関東の31大学35学部の学生533人を対象に、飲食店における飲み放題に関する横断的調査を行った。その結果、95.8%の大学生が飲み放題を利用したことがあり、飲み放題での飲酒量は、飲み放題ではない場合に比べて男子学生で1.8倍、女子学生で1.7倍増加することを明らかにした。
若者のアルコール過剰摂取は世界的な問題とされており、大学生を含めた10~20代の若年者におけるアルコール過剰摂取を原因とする死亡は年間33万人に達する。しかし、日本では、多くの飲食店において飲み放題サービスが提供されており、アルコールに対して寛容な環境がある。その一方で、アルコール過剰摂取につながる可能性が高いと考えられる飲み放題が、将来の我が国を担う大学生の飲酒量に与える影響に関する調査は、これまでほとんど行われてこなかった。
本研究グループは、日本の大学生533人のうち、飲み放題を利用したことがあると回答した学生511名(95.8%)を分析対象として、飲み放題の利用と大学生の飲酒量の差異を調べた。その結果、飲酒量は、飲み放題では、飲み放題ではない場合に比べて男子学生で1.8倍、女子学生で1.7倍に増加しており、加えて男子学生の39.8%、女子学生の30.3%が、飲み放題の場合にのみHED(一時的多量飲酒)という危険な飲酒をしていることがわかった。
日本人の4~5割はアルコールが飲めない、あるいはとても弱い体質であることがわかっている。これらの学生が、飲み放題の利用時に通常より2倍近いアルコールを摂取している可能性があることは、きわめて危険であり、飲み放題を提供する側も、そのあり方について議論していく必要があるとしている。