文部科学省が国立大改革で教員養成系学部や人文社会科学系学部の廃止、組織改編を求める通知を出した問題で、日本学術会議(会長・大西隆豊橋技術科学大学長)は、幅広い議論で大学改革の合意を形成するため、大学や学術界、産業界、一般の人らが自由に意見交換できるフォーラム設置を求める声明を発表しました。同時に政府に対し、幅広い議論で得られた提言を可能な限り尊重し、実施するよう求めました。

声明によると、日本学術会議は、国の財政が悪化する中で年金、医療など高齢化社会に対応した財政支出と高等教育を含めた次世代育成にどのような予算配分をするかについても、大学改革の議論と同時に検討するよう要求しています。さらに、大学改革が実施されている間、自主的な改革を実現させるため、財政支援を充実させるよう提案しました。

文科省は6月、国立大に対し、教員養成系学部や人文社会科学系学部の廃止、組織改編を求める通知を出しました。国立大や学術界から文系学部の廃止を求める内容だとして、反対の声が上がったのに対し、文科省は廃止が教員養成系学部の一部に限定され、あくまで社会的要請の高い分野への転換を求めたもので、文系全体の廃止と受け止められるのは誤解だとして釈明を続けています。
この点について、声明は通知の背後にある文科省の考えを理解したとしながらも、通知の文面からこの趣旨を読み取るのは困難と指摘。文科省に対し、引き続き真意を述べる文書を配布する一方、丁寧な説明を続け、国内外の誤解を解く努力をするよう求めました。

大学ジャーナルオンライン編集部

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