九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の二宮利治教授、歯学研究院口腔予防医学分野の竹内研時助教と山下喜久教授、医学研究院呼吸器内科学分野の松元幸一郎准教授らの共同研究グループは、歯周病の進行が呼吸機能の急速低下に関わることを初めて明らかにした。
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、これまで「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれてきた病気の総称である。近年、世界的に増加傾向であり、世界の死因の第4位を占める大きな社会問題となっている。COPDは主にたばこの煙などの有害物質を長期間に渡って吸入することで発症すると考えられているが、その他の要因については良く分かっていなかった。
そこで、今回、同研究グループは、口腔内だけでなく全身の健康を脅かす病気として知られる歯周病に着目し、40歳以上の成人1650名の追跡調査データを分析し、COPDとの関連について研究を行った。歯周病と呼吸機能検査による一秒量の急速低下との関連を調べた結果、喫煙などの影響を加味した上でも、歯周病の進行が最も軽度な集団に比べ、最も重度な集団は3年以内に一秒量の急速低下が起きる割合が1.4倍高く、歯周病が進行している人ほど呼吸機能の経年低下速度が急速化しやすいことが明らかになった。
本成果により、歯周病の進行を予防し口腔内の健康管理をすることが、肺の健康を守るためにも重要であることが示唆された。