北海道大学の本間研一名誉教授、同脳科学研究教育センターの本間さと客員教授、北海道医療大学の西出真也講師の研究グループは、マウスの分子時計を構成する2 つの時計遺伝子の発現を同時に計測する技術を用いて、これらの分子時計が互いに異なる性質をもつ独立した時計であることを世界で初めて実証した。

 同研究グループは、マウスの視交叉上核に存在する生物時計(中枢時計)を取り出し、培養環境下で昼夜変化を模倣した刺激を与えて生物時計の同調を観察した。生物時計の24時間振動は、4種の時計遺伝子の相互作用で生じると考えられている。例えば、体内時計を司る時間遺伝子にはPer2遺伝子とBmal1遺伝子を中心とするコア・ループが存在するが、これまで両者の関係は不明であった。

 そこで、この2つの時計遺伝子を同じ視交叉上核標本を用いて、同時にリアルタイムで測定し、外部刺激に対する反応性を調べた。その結果、出生初期の細胞では、同一組織で測定したにも関わらず、Bmal1時計はPer2時計よりも速く進むことが分かった。成獣マウスの2つの時の速さには差がなかった。このことから、細胞内に2つ以上の分子時計があることが分かり、これまで知られていた様々な時間現象を複数の時計の相互作用で説明できる可能性が出てきた。

 本研究の進展により、生物時計が生後どのように発達していくかの解明に期待が持たれる。

論文情報:【Scientific Reports】Two coupled circadian oscillations regulate Bmal1-ELuc and Per2-SLR2 expression in the mouse suprachiasmatic nucleus

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