豊田理化学研究所は先端分野で活躍が期待される若手研究者を支援する「ライジングフェロー制度」を2024年度からスタートすることを決め、初年度の助成対象に東北大学多元物質科学研究所の大野真之准教授(35)、東京大学大学院理学系研究科の後藤佑樹准教授(42)、大阪大学免疫学フロンティアセンターのパク・ソヤン特任准教授(44)を選んだ。
豊田理研は2023年度から、従来の研究助成制度「豊田理研スカラー」の経験者の中から異分野の研究者とチームで研究に取り組む「スカラー共同研究」を開始し、現在10チームが研究に取り組んでいる。今回の「ライジングフェロー制度」では、過去に豊田理研スカラー採択の実績がある者の中から活発な研究活動を実施している新進気鋭の研究者が将来一流研究者として活躍することを期待して、5年間で最大1億円の大型の助成を行う。
豊田理研によると、大野准教授の研究テーマは「アニオンの複合化で拓く固体イオニクスのフロンティア」、後藤准教授は「ハイブリッド擬天然物ペプチド戦略の推進」、パク准教授は「生体分子アンサンブルによる機能性核酸の開発と創薬基盤プラットフォームの構築」。
豊田理研は国内の大学に所属し、過去に豊田理研スカラーとして研究活動を進めた経験を持つ教員から助成対象者を募集し、応募があった66人を書類と面接で選考して3人を選んだ。3人には間接経費を含めて最大2,000万円が最長5年間助成される。
豊田理研は戦前の1940年、トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎氏によって東京に設立された。戦後は愛知県に移り、公益財団法人として日本の科学技術発展と研究者の育成に務めている。理事長はトヨタ自動車の豊田章男会長が就任している。このライジングフェローという「人」と、スカラー共同研究という「分野」を育てる2つの助成制度で先端研究を後押しする。