名古屋大学大学院工学研究科の新津葵一准教授らの研究グループは、世界最小クラスのコンタクトレンズ方式の血糖モニタリング装置の試作に成功した。
糖尿病治療や予防においては、患者自身が血糖値を持続的に把握することが重要である。血糖値の測定には、従来、皮下にセンサーを埋め込むなどの侵襲性(体内に傷をつける)のある装置が主流であった。低侵襲性のものとして、血糖濃度と相関のある涙液糖濃度に着目したコンタクトレンズ方式の装置が注目を浴びているものの、電気を供給するためのメガネ型端末など別の装置が必要となるため、就寝時や運動時の測定がしづらく、普及が進んでいないのが現状であった。
そこで同グループは、今回、発電・センシング一体型血糖センサーを搭載したコンタクトレンズを新開発した。発電とセンシングを同時に行う固体素子型グルコース発電素子は、世界最小クラスの大きさで、涙液に含まれる糖(グルコース)を基に1ナノワット以上の電力を生成する。データを送信する半導体無線送信器回路についても、従来の1万分の1程度の電力で駆動できる。その結果、給電用のメガネ型端末も不要になり、コンタクトレンズを装着するだけで継続的に血糖値をモニタリングすることが可能になった。
このような低侵襲かつ低コストなコンタクトレンズ型血糖モニタリング装置の実現が進むことにより、より多くの人が簡便に自身の血糖値を把握可能になると期待される。
この研究成果は2018年10月17日開催の国際会議IEEE BioCAS2018で発表された。