近畿大学医学部の研究グループは、膵臓の慢性疾患である「自己免疫性膵炎」と「慢性膵炎」という2つの異なる病気に共通する免疫反応の一端を、世界で初めて解明した。

 膵臓の慢性炎症性疾患は、「自己免疫性膵炎」と「慢性膵炎」の2つに大別される。自己免疫性膵炎は、自己の膵臓組織を免疫システムが誤って攻撃して発症するもので、膵癌をはじめとする各種の癌を併発することが多い。慢性膵炎は、過度の飲酒により膵臓に炎症が持続し、進行に伴い膵臓の機能が失われる病気で、同じく膵臓癌が発症しやすいことがわかっている。しかし、これらはいずれも発症メカニズムが未解明で、根治療法も存在していない。

 本研究グループは、この2つの異なる病気の発症に、「I型IFN」と「IL-33」の2つのサイトカイン(細胞が分泌するたんぱく質)の過剰産生が共通して関わることを見出した。一方で、「I型IFN」と「IL-33」を産生する細胞はそれぞれ異なっており、自己免疫性膵炎では形質細胞様樹状細胞、慢性膵炎では膵臓腺房細胞が「I型IFN」と「IL-33」を産み出すことがわかった。つまり、「I型IFNとIL-33の過剰産生」という免疫異常が病気を起こすという点では自己免疫性膵炎と慢性膵炎は共通しているが、形質細胞様樹状細胞がI型IFNとIL-33を産生すると自己免疫性膵炎の発症につながり、膵臓腺房細胞がI型IFNとIL-33を産生すると慢性膵炎の発症につながることが明らかとなった。

 これまでほとんど理解されていなかった膵臓の慢性炎症の発症メカニズムを解明したこの成果により、今後、膵臓の慢性炎症性疾患の新たな治療法や、膵臓癌の新たな予防法の開発に期待がかかる。

論文情報:【Trends in Immunology】Mechanistic Insights into Autoimmune Pancreatitis and IgG4-Related Disease

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大学ジャーナルオンライン編集部

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