東京歯科大学市川総合病院では、“米ぬか成分によるアルツハイマー型認知症への治療効果”を確かめるため、臨床試験への参加を希望する65~85歳の軽度のアルツハイマー型認知症患者を募集している。
65歳以上の認知症の人の数は2025年には高齢者の約5人に1人である約700万人になると予測されている。国民病ともいえる認知症だが、その中でも約6割を占めるアルツハイマー病の治療法は未だ確立されておらず、症状進行を薬で予防しているのが現状。また新たな新薬も開発されて話題になっているもの(疾患修飾薬)もあるが、その効果は現状満足できるレベルにあるとは、まだ言えない。
近年、アルツハイマー病は、“脳の糖尿病”とも称されるように、これまで信じられてきた病理とは異なる、栄養学的な見地からの理解も進み、新たな予防・治療アプローチが注目されてきている。特に、米ぬか成分による栄養療法が、アルツハイマー病に効果を持つ可能性が期待されている。
動物実験では、既にアルツハイマー病の原因物質とされる「脳のアミロイドベータ蓄積が、米ぬか成分を食べることで5-7割減少」とも報告され、実地でも一部の認知症の方には草の根では広がりを見せつつある一方で、厳密な医学的検証試験は行われておらず、認知症患者での研究が待たれていた。
こうした背景を踏まえ、本研究では、世界初の試みとして、米ぬか成分の治療効果の検証のため、ランダム化比較での臨床試験への参加協力を希望する65~85歳の軽度のアルツハイマー型認知症の患者を320名募集している(抗認知症薬ドネペジル5mg1錠を内服中などの条件あり、要確認)。米ぬか成分はサプリメントとして服用可能で、参加者には約1年間、3ヶ月に1回程度、通院してもらう。この研究によって、米ぬか成分による認知症の予防・治療効果が証明され、安心・安全・安価で医学的根拠に基づいた『食の力』という治療選択の確立を目指す。
主任研究者の宗未来氏は、「アロマセラピーによる高齢者の認知機能改善」の効果証明などで、日本精神神経学会学術総会の優秀発表賞を3度にわたって受賞した精神科専門医。また、本研究は、認定臨床研究審査委員会の審査・承認を受けた後、東京歯科大学市川総合病院の病院長の許諾を得て、厚生労働大臣に研究に関する実施計画を提出した上で実施されている(臨床研究実施計画番号:jRCTs031220615)。
参考:【Google forms】【東京歯科大学市川総合病院】アルツハイマー型認知症に対する、安心・安全な米ぬかの栄養成分を用いた、世界初の栄養療法の効果検証試験の参加者を募集しています