名古屋大学大学院と藤田医科大学の研究グループは、一般成人を対象とした調査により、魚を食べ過ぎると、魚に含まれるヒ素を介して健康に影響する可能性があることを明らかにした。
魚にはビタミンやオメガ3-脂肪酸(DHAやEPA)など、美容や健康をサポートする成分が豊富に含まれているが、ヒ素という元素も多く含まれている。ヒ素には、人体に有害なものと無害なものがあり、長らく魚に含まれるヒ素は無害であると考えられてきた。しかし、実際に、どのくらいの頻度で魚を摂取すると、どのようにそのヒ素が健康に影響するのかについては、十分に解明されていなかった。
研究グループは、魚の摂取頻度・空腹時における血液中のヒ素濃度・高血圧の関係性を調べる研究を実施。日本に住む2,709人の一般成人を対象として調査を行った結果、血液中のヒ素レベルが高い人ほど高血圧のリスクが増加することが確認された。さらに、解析により、1日に1回以上魚を食べる人は、血液中のヒ素濃度が高まり、高血圧になるリスクが上がる
可能性があることが示された。
名古屋大学大学院では、対策としてヒ素を吸着できる食器(ドクター食器®️)の開発にも取り組んでいる。しかし、魚にはヒ素以外の健康に良い成分も豊富に含まれており、体に良い栄養素の効果とヒ素による悪影響がどのように関係しているかはまだ明らかではない。今後、魚肉の摂りすぎによる健康問題のリスクを懸念しつつ、体に良い効果が期待できる食生活についてより深く検討する必要があるとしている。
※「ドクター食器®️」は国立大学法人東海国立大学機構の登録商標