都市のヒートアイランドによる高温ストレスでカタバミの葉が赤く進化して高温耐性を獲得していることを、千葉大学大学院園芸研究院の深野祐也准教授、東京大学大学院農学生命科学研究科の矢守航准教授、内田圭助教、東京都立大学大学院理学研究科の立木佑弥助教、かずさDNA研究所の白澤健太植物ゲノム・遺伝学研究室長、佐藤光彦研究員らの共同研究グループが見つけた。
研究グループは日本各地の農地や都市に生える野草のカタバミに通常の緑の葉だけでなく、高温耐性を持つ赤い葉を持つものがある点に注目、東京都内の26カ所でカタバミがどちらの色の葉をつけているのかを調べた。
その結果、都市部では芝生や農地など緑地に比べて赤い葉をつけることが多いことを見つけた。公園の芝生と住宅では数十メートルしか離れていないのに、芝生は緑、住宅は赤い葉をつけたカタバミが生育していた。
さらに、35度の高温下と25度の通常気温下でカタバミを育てたところ、35度では赤い葉の光合成が活発だったのに対し、25度では緑が活発になっていた。赤い葉の進化プロセスを集団遺伝的手法で推定した結果、カタバミが赤い葉に進化して一度に東京中へ広がったのではなく、緑から赤への進化が各地で何度も起きていることが示唆された。
千葉大学によると、現在、かずさDNA研究所を中心に、市民参加型のオープンサイエンス「みんなでカタバミプロジェクト」を実施している。赤葉の進化の遺伝的背景を探り都市の雑草で起きている高温適応を研究者と市民が共同で解明するもので、参加者を募集している。
論文情報:【Science Advances】From green to red: Urban heat stress drives leaf color evolution
参考:【かずさDNA研究所】みんなでカタバミプロジェクト with かずさ〜あなたの街では何色ですか〜