科学技術振興機構は社会課題を解決し、持続可能な開発目標の達成に寄与する事業を表彰する2023年度「STI for SDGs」アワードの入賞者を決め、最優秀の文部科学大臣賞に慶應義塾大学発のスタートアップ企業「OUI Inc(ウイインク)」を選んだ。表彰式は11月18日、東京都江東区青梅のテレコムセンタービルで開かれた。

 科学技術振興機構によると、OUI Incは現役の眼科医が創業した企業で、世界の失明を50%減らし、目の健康を守ることを使命としている。スマートフォンに取り付けて使用する眼科医療器SECを発明、眼科医がカメラ越しに前眼部を観察してほぼすべての疾患を見つけられるようにした。

 世界では何らかの眼科障害を抱える人が約22億人いると推計されている。失明者は約4,300万人。これらの人の多くは眼科医がいない発展途上国の農村部など医療過疎地域に暮らしている。本来は治療が可能なのに、病状が悪化しているケースが多いと考えられており、SECをこうした地域の患者治療に役立てる。

 このほか、科学技術振興機構理事長賞に豊橋技術科学大学、豊橋バイオマスソリューションズの「小規模廉価型メタン発酵システムによる『誰ひとり取り残さない』社会の実現」、優秀賞にミライロの「デジタル障害者手帳『ミライロID』の開発・運営」、モリサワの「UDフォント開発と運営」、インバックスグループの「持ち出さない、持ち込まない、そこにある土砂を資源化」、次世代賞に盲学校用教材開発サークル「Soleil」の「盲学校教育現場において使用する音声式環境計『大気くん』の開発」が選ばれた。

参考:【科学技術振興機構】令和5年度「STI for SDGs」アワード受賞取り組みの決定について(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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