画面を複数の領域に小分けにするだけで数量判断が効率的になることを、東京大学のグループが発見した。

 数量判断には、時間をかけて正確な数量を数え上げる場合と、短時間で大まかな数量を見積もる場合の2種類がある。人間の数量判断能力としては、大きな数量の判断では時間がかかる上に正確さも低くなることが知られているが、数量判断がどのような状況で効率がよくなるかという視点の研究はほとんどなかった。例えば、日常場面では数える対象物以外(例えば、教室内の学生の人数を知りたい場合の長机)が存在する状況がしばしばあるが、それらが数量判断に与える影響は分かっていなかった。

 本研究では、画面に表示される円形の数え上げ課題(円形の数をなるべく早くかつ正確に答える)、短時間表示される円形の数推定課題(限られた短い時間で円形の数をなるべく正確に見積もる)において、画面内に区切り枠を加えると数量判断の成績がどのように変わるかを検討した。

 その結果、数え上げ、数推定課題のいずれでも、特に円形の数が数十個となる場合に、区切り枠の存在によって数量判断の成績が上昇した。これは、数量判断の課題とは本来無関係な区切り枠の存在によって、数量判断が効率的になることを示している。つまり、人間が、たとえ無関係な情報であっても無意識に利用して、効率的な数量判断につなげる能力を持つことが示唆された。

 本研究成果は、効率性を向上させる方法という新しい切り口で数量判断について検討したものであり、数量判断の際に起こりがちな二重カウントや見逃しなどの間違いを防ぎ、緊急時・避難時の人数把握など社会的な場面での有効活用にもつながることが期待される。

論文情報:【Scientific Reports】Task-irrelevant spatial dividers facilitate counting and numerosity estimation

東京大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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