慶應義塾大学医学部漢方医学センターの呉雪峰研究員、吉野鉄大特任講師、三村將名誉教授、漢方薬品のツムラ、ヘルスケア事業のDeNAライフサイエンスの研究グループは、網羅的なゲノム解析で冷えと関連する遺伝子を見つけた。
慶應義塾大学によると、研究対象は20歳から60歳までの女性1,111人で、このうち599人が冷えを自覚していた。冷えを自覚するグループは自覚していないグループに比べ、体重が低く、運動習慣がないなどの傾向が見られた。自覚症状は冷えを自覚するグループが有意に高く、冷えの程度が重度になると症状が大きくなった。
研究グループが網羅的なゲノム解析をしたところ、11のゲノム領域が同定され、このうちKCNK2遺伝子近傍のrs1869201一塩基多型と、TRPM2遺伝子上のrs4818919遺伝子多型などが、冷え性のリスクと関連することが示唆された。これらは冷え性に関連するたんぱく質の発現量を変化させ、リスクを高めているとみられる。
冷えは器質的な異常がないにもかかわらず、全身または身体の一部に寒冷感を自覚する症状。冷えが日常生活に支障をきたすようになることが冷え性で、不眠や疲労感、痛みなどで生活の質低下をもたらし、他の病気の引き金になると考えられている。
冷え性が起きるメカニズムとして血管運動神経障害や女性ホルモンのバランス異常、体温調節機能の低下などが指摘されてきたが、冷えに関連する網羅的なゲノム解析調査はなかった。