畿央大学大学院と国立障害者リハビリテーションセンター研究所の研究グループは、パーキンソン病患者の姿勢障害の構成要素とみなし得る5つの因子を抽出し、さらに6つのサブタイプに分類できることを明らかにした。適切なリハビリテーション介入への貢献が期待される。
姿勢不安定性があるパーキンソン病患者には、揺れの増大だけでなく過少となる症例も指摘されている。パーキンソン病には、臨床徴候や病歴、発症年齢、疾患進行速度などの違いから異なるサブタイプが存在し、姿勢障害の特徴にも様々なサブタイプの存在が想定されている。
研究グループは、健常者とパーキンソン病患者に対して静止立位時の重心動揺を計測し、様々な特徴量を持つ変数に「因子分析」を施して姿勢障害の構成要素(因子)の抽出を試みた。その結果、揺れの大きさ、前後・左右・高周波(揺れの頻度)、閉ループ制御(揺れに基づく修正能力)の5つの因子を特定した。
次いで、因子得点を用いた「クラスター分析」により、6つのサブタイプに分類できることが分かった。パーキンソン病の重症度比較では、姿勢障害を構成する因子に有意差はなかったが、サブタイプ間では明確に異なる値を示した。またパーキンソン病の発症からの期間の長さや症状の重症度も有意な違いを示し、この分類はパーキンソン病患者における姿勢障害のサブタイプとみなせることを明らかにした。
今回の研究は、パーキンソン病患者の姿勢障害のタイプに基づいた適切なリハビリテーション介入の一助となり得る。今後はパーキンソン病患者で生じる体幹の前屈や側弯などの姿勢異常や筋活動特性を包含した姿勢障害の特徴分類を予定している。