東京医科歯科大学は2024年度から東京都民を対象に、不整脈早期発見の検診事業「寝たきりを20%減らすAI心房細動検診」を始める。大学研究者による事業提案が東京都に採用されたもの。

 心房細動は不整脈の一種。加齢とともに発生率が上がり、国内の患者数が約100万人と推計されている。その合併症に、最も重篤な脳梗塞の心原性脳塞栓がある。脳血管疾患は寝たきりを生む主要要因で、国内の寝たきり患者の20%は心原性脳塞栓が原因と推定されている。予防には心房細動を早期発見し、脳梗塞予防を進める必要がある。

 しかし、心房細動は発症初期に発作の形で起き、心電図検査で異常が出なければ診断できない。発作時の動悸などを自覚して病院を受診する人もいるが、約40%は自覚症状がない「隠れ心房細動」の状態で、治療を受ける機会がないまま、ある日突然重症の脳梗塞を発症し寝たきりになってしまうおそれがある。隠れ心房細動の患者数は少なくとも全国で約100万人とみられている。

 東京医科歯科大学によると、検診希望者に東京医科歯科大学病院で通常の心電図検査と血液検査を受けてもらい、AIによる心電図解析や遺伝子解析、問診などで隠れ心房細動のリスクを予測する。続いて、小型長時間心電計で1週間にわたって心電図をモニターし、隠れ心房細動を発見する。心房細動が見つかれば、治療の必要性を評価したうえで、脳梗塞や心房細動予防の治療に入る。

 本事業は、東京医科歯科大学と文京区医師会等との共同研究として開始する予定。2024年秋以降には青梅市でもAI心房細動検診を開始する予定。2025年度以降は、東京都内の他の地域でも展開を検討している。

参考:【東京医科歯科大学】寝たきりを20%減らすAI心房細動検診

大学ジャーナルオンライン編集部

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