2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」に注目が集まるなか、源氏物語の研究で知られる実践女子大学が約10年ぶりとなる創立125周年記念特別展覧会「実践女子大学所蔵 源氏物語・和歌 コレクション展-文庫(ふみくら)をひらく-」を開催し、鎌倉時代に書写された古写本を含む7種類の源氏物語の写本を一挙公開する。
実践女子大学は源氏物語を研究するという建学からの精神を受け継ぎ、源氏物語及び関連する和歌の古典籍を積極的に収集調査している。その数は8000点を超え、鎌倉期写本を含む貴重な一大コレクションとなっている。源氏物語を最新の機器など理系的手法を用いた文理融合による研究をしているのも特徴で、今回はその成果も披露する。
今回は、源氏物語に関して2点の古筆切と5点の写本(鎌倉~室町後期)の7種類を展示する。このうち「いずれの御時にか‥」で始まる源氏物語54帖の第1帖で、源氏物語の中で光源氏を「光る君」と初めて呼んだ「桐壺」の古筆切と須磨の1帖は初公開。「桐壺の古筆切」「須磨」「早蕨(さわらび)・宿木(やどりぎ)」の2帖の計3種類は鎌倉時代末期から南北朝期に書写された古典籍であり、資料的価値が高い。
その他、室町時代末期に冷泉明融らによって書写された著名な「明融本」や、400人を超すといわれる登場人物の名前や相関関係、どの巻に登場しているかなどが書かれた室町時代の源氏物語系図も展示する。
また、源氏物語とは切っても切れない関係の和歌にも注目。プライベート主体の内容で紫式部の恋愛観などの心情が汲み取れるとされている紫式部集の写本(室町時代後期)、大名家が娘の嫁入りの際に持たせる調度品にもなっていたという源氏物語の和歌を使ったカルタ(江戸時代)、天皇・上皇の命によって編纂された勅撰和歌集のうち二番目に編纂された『後撰和歌集』を藤原定家が書写した名物切「紹巴切(じょうはぎれ)」(鎌倉時代)も見ることができる。
加えて、鎌倉時代の陰陽師であり、歌人でもある寂恵(じゃくえ)に注目して、重要文化財の拾遺集をはじめ、寂恵による筆跡の和歌集を集めたコーナーも設置。古筆切をアルバムのように収めた古筆手鑑(てかがみ)も初公開する。そのなかには、伏見天皇の真筆として著名な「筑後切」がある。
<実践女子大学所蔵 源氏物語・和歌 コレクション展-文庫(ふみくら)をひらく->
会期:2024年9月9日(月)~9月29日(日)10:30~17:00
休館日:土曜日・日曜日・祝日※ただし9月28、29日は開館
入館料:無料
会場:実践女子大学香雪記念資料館(実践女子大学渋谷キャンパス内)
<実践女子大学オープンキャンパス公開講座「源氏物語・和歌の世界にふれてみよう」>
日時:2024年9月16日(月・祝)
内容:12:30~13:30 公開講座+ギャラリートーク、14:40~15:10 ギャラリートーク
会場:実践女子大学渋谷キャンパス
対象:高校生と保護者
申込:事前予約不要、参加無料
参考:【実践女子大学】実践女子大学所蔵の源氏物語・和歌コレクション展 豊富な古典籍から厳選 貴重な優品ずらり 深い魅力の堪能を