スイス・ジュネーブにある世界最大の加速器施設CERNで行う高校生国際素粒子実験コンテスト「Beamline for Schools」に日本の高校生グループSakura Particlesが過去最高の461件の中から選ばれた。日本の中高生が大型加速器施設で素粒子実験を行うのは初めて。
CERNはスイスのジュネーブにある世界最大の加速器施設。2013年にノーベル賞を獲得したヒッグス粒子の発見に貢献するなど、素粒子関係の研究で世界的に知られている。「Beamline for Schools」は世界中から毎年高校生の素粒子実験提案を受け付けており、採択されたチームは旅費支給の上で現地に招待され、2週間かけて提案した素粒子実験を研究者とともに行うことができる。2024年度は日本、エストニア、アメリカの3チームが採択された。
企画が採択された女子高校生チームは、女子学院高等学校、埼玉県立川越女子高等学校、大阪府立北野高等学校、神奈川県立川和高等学校、順天高等学校から集まった5人による「Sakura(サクラ) Particles(パーティクルズ)」。素粒子や宇宙に興味を持つ中高生の探究活動を支援する仙台市の合同会社加速キッチンで出会い、1年間かけて素粒子検出器の開発を進めてきた。
5人は宇宙から降り注ぐ高エネルギーのミュー粒子の軌跡を測定することでピラミッドなど巨大建造物の内部を透視する技術への応用を目指し、独自の工夫でミュー粒子の軌跡を測定する「手作りの宇宙線イメージング検出器」の開発に成功。2024年3月に高校生としては史上始めて高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市)のフォトンファクトリーで光速の電子ビームを用いてテストを行い、その性能を実証した。これらの成果が国際的に認められ、今回の採択となった。
CERNでは、宇宙から降り注ぐ宇宙線を模擬して人工的に光の速さの99%以上の高エネルギーミュオンビームを生成し、自作した検出器のイメージング性能を検証する。9月からスイス・ジュネーブに2週間程度滞在し、CERNの素粒子物理学者のサポートのもと実験を行う予定。