株式会社電通の企業の人財採用におけるブランディングを支援するコンサルティングチーム「採用ブランディングエキスパート」は、体育会運動部所属の大学生および大学院生の計303人を対象に、就職活動やキャリア形成に関する意識調査「学生アスリート 就活まるわかり調査」を実施した。調査期間2024年7月22日~8月5日。
調査によると、「あなたは入社先で昇進や出世をしたいと思うか」の問いに対し、学生アスリートの59.1%が「とてもそう思う」と回答(就活生全般51.8%)。自身の性格・特徴については、「コミュニティ意識(自分の所属しているコミュニティを大切にする)」(67.7%)、「競争心・向上心(目標達成には努力を惜しまない)」(65.0%)などの回答が多かった。
学生アスリートの部活動の引退時期は「4年生 11-3月」が49.8%、「4年生 4-10月」が26.7%と、約8割が就活が本格化する4年生まで競技を継続。70.3%が「週5日以上」部活動に参加している。
学生アスリートが就活中に感じた悩みは、「何から始めれば良いのか分からない/就職活動全体の流れやステップが分からない」(33.9%)、「自分自身のやりたい仕事・キャリアイメージが分からない」(33.3%)、「自分に向いている仕事・職業が分からない」(32.3%)など、就活そのものやキャリア形成に関する項目が多かった。所属部の活動時間を確保すると、イベント参加や各種準備時間を捻出できない悩みについても一定数が回答。実際、大会時期と重なる事が多い秋を含む10-3月のインターンシップへの参加率が就活生全般と比較して約20ポイント低かった。
就活の各ステップで最も影響を及ぼした存在については、「企業の認知」「企業理解」「エントリー」「入社決定」のいずれも「部活動の先輩・同期」、次いで「部活動の卒業生(OB/OG)」だった。就活生全般は就活の各ステップで影響を及ぼした存在が変遷しており、学生アスリートとの違いが現れた。
今回の調査結果から、多くの学生アスリートが、身近な場所のみで情報収集を行い完結させる「半径5m就活」を行っている可能性が高いことがわかった。部活動の先輩・同期・卒業生の影響力が非常に大きく、企業の説明会での情報や親・親族の意見なども積極的に取り入れる就活生全般とは情報収集方法が大きく異なる。こうした原因で、就活の最中に、就活そのものやキャリア形成に関する根本的な悩みを感じ、企業とのミスマッチが生じる懸念がある。
一方、昇進や出世の意欲、向上心が高い学生アスリートのポテンシャルに期待する企業も多く、学生アスリートの実態を踏まえた採用活動が求められている。例えば、部活動のオフシーズンかつ就活本格化前のタイミング(2年生の1~3月等)でのアプローチや、実際の業務内容やキャリアパスを具体的にイメージできるキャリア教育に近いコンテンツを準備し、学生アスリートとの接点を設けるなどの手法が効果的であると考えられる。