同志社大学理工学部 インテリジェント情報工学科の知的機構研究室とコマツ株式会社が共同開発した「自動テクスチャ識別プログラム」を搭載した壁紙AI識別アプリ「かべぴた」が、「KANSAI DX AWARD 2024」(関西デジタル・マンス実行委員会主催)においてグランプリを受賞した。DXへの取り組みの先進事例として特に優秀な企業を表彰するもので、2024年10月31日に開催された関西デジタル・マンス クロージングイベントにて表彰式が行われた。
インテリア系建築業は人材不足と長時間労働是正が大きな課題となっている。長年の慣例による非効率な作業が多く、その一つに、客からの依頼により月に数回・手作業での識別作業を行う「品番不明資材の識別」作業がある。人力での識別作業は非効率で誤差も多く労力を要するが、技術的な解決策がないため長らく放置されてきた。
そこで、同志社大学理工学部インテリジェント情報工学科の知的機構研究室と、業歴45年を超える東大阪のインテリアを主業とした企業、コマツ株式会社は、産学連携による画像認識AIを活用した課題解決に挑んだ。
従来の識別プログラムでは素材感の微差を識別できず、プログラムを新たに構築する必要があったが、2年かけて「自動テクスチャ識別プログラム」を開発し、識別要素が表面の微細な差異しかない材質でも品番識別を可能とした。
また、建築業は高齢者の割合が多く、複雑な操作や専門的知識の習得が敬遠されて普及しないという現状を踏まえ、解りやすいボタン、直感的な操作で作業が完結するよう、誰でも簡単に壁紙品番を識別できるアプリ「かべぴた」を開発した。
アプリ「かべぴた」のグランプリ受賞は、①産学連携により、画像認識AIを活用した課題解決に挑んだ点、②大手資材メーカーや競合企業6社から理解、協力を得て、自社に蓄積された専門知識と、同志社大学の学術的先端技術を集結させ、素材表面の微細な差異を識別要素にする「自動テクスチャ識別プログラム」を開発し、普及品壁紙の品番識別に成功、アプリ化した点、③識別課題解決からアプリ化にあたり、コマツ株式会社社内にDXソリューション事業部を新設し、同志社大学、協力会社とシームレスに連携する体制を整えた点などが評価された。
参考:【同志社大学】同志社大学 理工学部 知的機構研究室(奥田正浩 教授)とコマツ㈱が共同開発した壁紙AI識別アプリがKANSAI DX AWARD 2024グランプリを受賞