川田工業、芝浦工業大学(安孫子聡子教授)、川田テクノロジーズの三者は、遠隔操作者が事務所にいながらにして建設現場の品質・出来形管理や協働作業を行える「アバターシステム」の共同開発を開始した。

 現在、橋梁の建設現場では、施工管理の一環として多岐にわたる品質・出来形管理業務を実施している。現場での人手による実測が主体で、測定データの管理や帳票作成も含め、多くの時間を費やしている。一方、少子高齢化に伴う労働力不足により、現場職員の労務は増大しており、現場の品質保証能力や生産性の向上(時間短縮や工数削減)のための技術開発が求められている。

 アバターシステムは、移動型作業ロボット(アバター)、遠隔操作端末、ロボットが扱う計測器等を高速通信で連結したシステム。操作者、現場職員、店社職員、発注者等がインタラクティブに情報共有しながら種々の品質・出来形データの取得や、現地職員との協働作業などを可能にする。

 今回、測定業務の全面的なデジタル化やリモート化を図るシステムを開発する。具体的には、現場のアバターが取得した橋梁の品質・出来形測定データをクラウドサーバに転送して自動帳票化し、店社や発注者と共有可能にする。この結果、現場職員に代わり、店社職員や在宅勤務者が複数の現場の品質・出来形管理を行うことができる。また、発注者の遠隔立会も可能となり、工事の生産性と品質保証能力の向上が期待できる。

 現代社会は新型コロナウィルス等の感染症リスクにも曝されている。開発グループは、店社職員や在宅勤務者が現場と協業するテレワークを主体とした「新しい働き方」を確立するとしている。

参考:【芝浦工業大学】建設現場用「アバターシステム」の共同開発を開始

大学ジャーナルオンライン編集部

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