東京科学大学大学院の那波伸敏准教授らの研究チームは、2011年から2022年までの全国規模の入院データを解析し、子どもが暑さにさらされると川崎病のリスクが増加することを明らかにした。
川崎病は、1967年に川崎富作博士によって初めて報告された、先進国で最も多い子どもの後天性心疾患で、日本はその罹患率が世界一と報告されている。しかし、約50年にわたる研究にもかかわらず、川崎病の原因はまだ完全に解明されていない。また、今後、気候変動の影響で暑すぎる日が増えると予想される一方で、川崎病への影響は十分に理解されていなかった。
そこで研究グループは、日本全国の2011年から2022年までの12年間における、年間で最も気温の高い5か月間(5月から9月)の川崎病入院データを対象に、高温曝露と川崎病の関連性を検討した。
解析の結果、子どもが暑さにさらされると川崎病のリスクが増加することが明らかになった。特に、極端な暑さ(上位1%に該当する1日の平均気温が30.7度)にさらされると、入院リスクが33%増加することが分かった。
今回の研究結果により、気候変動の影響で暑すぎる日が増えると予想される中で、医療従事者は気温の高い日に川崎病患者数が増える可能性を踏まえ、対応準備を進めることの重要性が示唆された。また、熱中症警戒アラートに基づき、高温環境を避けることは、子どもの川崎病発症リスクの軽減に寄与するためにも有効である可能性があるとしている。