山梨大学の研究グループは、ベルトや下着などの締め付けによって蕁麻疹(じんましん)が起こるメカニズムを解明した。

 蕁麻疹は、皮膚のマスト細胞(肥満細胞)と呼ばれる免疫細胞の1つが、何らかの刺激で活性化された際に、ヒスタミンという化学物質を放出することで生じる。ストレスやアレルゲン、温度、光などさまざまな刺激が蕁麻疹を誘発するが、中でも、日常的な因子としてベルトや下着などによる締め付けが蕁麻疹を引き起こすことはよく知られている。一方で、締め付けという物理的刺激(圧力)でマスト細胞が活性化されてヒスタミンを放出するメカニズムは全くわかっていなかった。

 本研究グループは、アレルギー疾患の病変部で広く上昇が認められるIL-33というタンパク質(サイトカイン)が、マスト細胞に作用すると、PIEZO1という触覚や聴覚、平衡感覚などを感知する圧力センサータンパク質の発現が、通常の約20倍も強く誘導されることを見出した。その結果、物理的刺激(圧力)に対するマスト細胞の感受性が高まることで、軽微な触圧刺激であってもマスト細胞が活性化してヒスタミンが放出され、痒みや炎症が誘発されるメカニズムが明らかになったという。

 この結果は、ベルトや下着などによる締め付けと言う物理的刺激によって圧迫部に蕁麻疹が誘発されるメカニズムを示す重要な発見である。実際に、マウス皮膚にIL-33を注射してPIEZO1を刺激すると、通常ではマウスが痒がらない軽微な圧力の触刺激であっても、マウスに痒み行動が誘発されることを確認したとしている。

 この知見をもとに、将来的には、IL-33の阻害に着目した蕁麻疹の新しい治療法開発につながることが期待される。

論文情報:【Allergy】IL-33 sensitizes mast cells to Piezo1 stimulation leading to degranulation

大学ジャーナルオンライン編集部

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