中強度の運動を20分間続けることで少なくとも8週間後まで長期記憶が強化されることが、北海道教育大学岩見沢校の森田憲輝教授、神戸大学大学院人間発達環境学研究科の石原暢准教授、中京大学教養教育研究院の紙上敬太准教授、米ノースイースタン大学心理学部のチャールズ・ヒルマン教授らの研究で分かった。
研究グループによると、研究グループは健康な大学生44人を20分間の中強度サイクリング運動と座ったまま何もしない状態に分け、15の単語を読み上げたあと、覚えた単語を1分間にできるだけ多く書きだすテストを受けてもらった。その後、24時間後、4週間後、6週間後、8週間後、11カ月後に単語の思い出しテストを実施、運動と長期記憶力の関係を調べた。
その結果、24時間後では差がなく、4週間後では運動したほうがわずかに多い正答を出したものの、統計学的な差を見つけることができなかった。しかし、6週間後では約10%、8週間後では約8%、運動したほうの正答が多く、学習前の運動が記憶の定着に効果があることが分かった。ただし、11か月後は差がない結果に戻っている。
研究グループは少なくとも8週間は運動による長期記憶が定着したとみている。過去の研究では運動による記憶力向上が最長で1週間しか示されていなかったが、実際はもっと長い間、記憶力アップの効果が出ていると考えられる。