東北大学大学院医学系研究科発達環境医学分野の金森啓太医師、大田千晴教授らの研究で、1歳未満から保育施設を利用していた子どもは、3歳まで保育施設を利用しなかった子どもに比べて3歳時点での発達が良いことが明らかになった。
本研究チームは、「子どもの健康と環境に関する全国調査(「エコチル調査」)」の約4万人のデータから、保育施設利用と子どもの発達について解析した。生後6か月から1歳の間で保育施設の利用を開始し、その後3歳まで継続して利用していた保育施設利用群と、生後6か月から3歳まで保育施設を利用していない保育施設非利用群を、Ages and Stages Questionnaires® (ASQ)-3による発達の評価尺度で比較した。
生後6か月の時点では両群の発達に差はなかったが、3歳時点ではASQ-3の評価領域であるコミュニケーション、粗大運動、微細運動、問題解決能力、個人社会スキルのすべてにおいて、保育施設利用群の方がスコアが高い(発達が良い)ことがわかった。特にその差はコミュニケーションと個人社会スキルで目立った。
かつて日本では、子どもは3歳までは家庭において母親の手で育てないとその後の成長に悪影響を及ぼすという「3歳児神話」があり、この考えは現在も完全に払拭されているとは言いがたい。しかし、本研究結果により、早期の保育施設利用に対するポジティブな効果が科学的根拠をもって示され、これまでの科学的な根拠に欠けるネガティブな印象が払拭されることが期待される。
ただし、保育施設と家庭での子育ての双方にそれぞれメリットがあるのは言うまでもなく、今回の結果が、保育施設を利用しない子育てを否定するものではないことには注意が必要である。