文部科学省が2024年度の公立学校教員採用選考試験結果をまとめたところ、小中高校とも採用倍率が過去最低だったことが分かった。小中高校すべてで採用倍率が過去最低を記録したのは、1979年の調査開始以来初めて。
文科省によると、小学校は受験者数3万6,259人に対し、採用者1万6,793人で、採用倍率2.2倍。前年度の2.3倍を下回って過去最低を更新した。中学校は受験者3万9,030人に対し、採用者9,830人の採用倍率4.0倍。前年度の4.3倍からさらに下がり、過去最低を記録した。高校は受験者2万1,331人、採用者4,917人の採用倍率4.3倍。前年度の4.9倍を下回って過去最低となっている。
小中高校に特別支援学校や養護教員、栄養教員を加えた全体の採用倍率(競争率)について、各県市別で最も高いのは鳥取県の8.0倍、最も低いのは熊本市で1.8倍。全国では受験者11万5,619人に対し、採用者3万6,421人で、前年度の3.4倍より低い過去最低の採用倍率3.2倍になった。採用者数は2000年度以降増加に転じ、ここ数年も大量退職や教員の人手不足があって増加傾向が続いている。
しかし、受験者の減少は毎年続き、ピーク時の1980年に比べて約半数まで落ち込んでいる。特に既卒者の減少が著しい。小学校においては、これまで臨時的任用教員や非常勤講師などを続けながら教員採用選考試験に再チャレンジしてきた層が正規採用されていることが理由と考えられる。なお、既卒の受験者のうち民間企業等勤務経験者は増加している。
少子化の影響だけでなく、負担の大きい職場であることが敬遠された一面もあるとみられる。文科省は増員などを続け、労働環境の改善に力を入れているが、目に見えた効果が出ていない。