2024年1月から国立がん研究センター中央病院で開始されていた「患者申出療養制度」を利用した医師主導臨床研究PARTNER試験(NCCH2220)の実施施設として、2024年11月に岡山大学病院が追加された。2024年9月に登録された北海道大学病院、九州大学病院に続く国内4カ所目の実施施設となる。
小児がんにおいては、がん遺伝子パネル検査等で治療薬の候補が見つかっても保険診療下で使用できる薬が少ない、参加可能な治験・臨床試験が少ない等、ドラッグアクセスの改善が課題となっている。
この一助として国立がん研究センター中央病院は、適応外薬または未承認薬の使用を希望する小児・AYA(Adolescents and Young Adults:思春期・若年成人)世代の患者を対象に、患者申出療養制度を利用して複数の医薬品を使用可能とする医師主導臨床研究PARTNER試験を2024年1月から開始している。
しかし本研究に参加して治療を希望する患者は限られた実施施設を受診する必要があり、これまで本州では東京の国立がんセンター中央病院のみが実施施設だった。今後は、中四国各県や関西地方からもアクセスの良い岡山大学病院で治療を受けることが可能となる。
本研究では、研究の趣旨に賛同した企業から医薬品が無償提供されており、2024年12月現在、5社8医薬品が対象となっている。今後さらに多くの企業の協力が得られるよう活動していく。なお本研究を適正に運営するために必要な費用は研究費から支払うため、患者の負担はないが、経過中の検査料や入院料等などは保険診療の範囲で患者の負担となる。
国立がん研究センター中央病院小児腫瘍科の荒川 歩医長は「小児・AYA世代の患者さんが必要な薬を全国どこにいてもなるべく、ご自宅の近くの施設で使えるようにするために、今後も対象医薬品、実施施設等を増やしていきたい」とコメントしている。
参考:【岡山大学】小児・AYA世代を対象とする患者申出療養「PARTNER 試験」が岡山大学病院でも開始~小児・AYA世代がん患者のドラッグアクセスの改善を目指す~