広島大学大学院医歯薬保健学研究科の松本正俊寄付講座教授、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の前田隆浩教授らの研究グループは、医学部の地域枠出身医師や都道府県の奨学金を受けた医師が一般の医師に比べ、高い割合で非都市部に勤務していることを突き止めた。

 広島大学によると、研究グループは全国の地域枠出身医師や都道府県の奨学金を受けた医師合わせて991人の進路を追跡調査し、一般医師の分布と比較、分析した。

 政令市、中核市以外の市町村に勤務する医師の割合は、一般医師が58.1%なのに対し、地域枠で入学し、奨学金を受給しなかった医師が75.8%、地域枠で入学せずに奨学金を受けた医師が84.0%、地域枠で入学して奨学金も受給した医師が88.8%。地域枠入学と奨学金需給の経験を持つ医師が高くなっていた。

 勤務市町村の人口密度中央値は一般医師が3,214.0平方キロメートルなのに対し、地域枠で入学し、奨学金を受給しなかった医師が1,042.4平方キロメートル、地域枠で入学せずに奨学金を受けた医師が613.5平方キロメートル、地域枠で入学して奨学金も受給した医師が547.4平方キロメートルと、より人口密度の低い地方で勤務していることが分かった。この傾向は大学卒業後の年数を重ねるごとに強くなっている。

 研究グループは「地域枠創設から10年が経とうとしているが、地域枠と都道府県奨学金の効果が出ている」とみている。

論文情報:【Academic Medicine】Geographic distribution of regional quota graduates of Japanese medical schools: a nationwide cohort study

広島大学

自らの人生をデザインするための学び。100年後にも世界で光り輝く大学

「平和を希求する精神」「新たなる知の創造」「豊かな人間性を培う教育」「地域社会・国際社会との共存」「絶えざる自己変革」の5つの理念の下、12学部4研究科1研究院を擁する総合研究大学。教育力・研究力を両輪とした大学改革を推進しながら、グローバル人材を持続的に輩出[…]

長崎大学

挑戦し続ける長崎大学。それぞれの領域で活躍するエキスパートをめざす

長崎大学は、医学、歯学、薬学、工学、水産学、教育学、経済学、環境科学といった実学系の学部のほか、人文社会学系グローバル人材の育成をめざした多文化社会学部で構成される個性的な大学。独自のカリキュラムやキャンパス環境を展開し、学生一人ひとりが、それぞれの領域でグロ[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。