2024年10月31日、琉球大学の狩俣繁久名誉教授らの研究チームが沖縄県と鹿児島県奄美地方にまたがる琉球列島の方言を複数の辞書から一括検索できるウェブサイト「大琉球語辞典」を公開した。島や地域で異なる方言を瞬時に比較できるのが特徴で、多くの単語に研究チームで収録した音声データを添えている。
琉球大学によると、このウェブサイトは沖縄県那覇市首里地区の旧士族の言葉を収録した「沖縄語辞典」、鹿児島県奄美大島の大和村大和浜の言葉を収録した「奄美方言分類辞典」に加え、沖縄県今帰仁村方言の「沖縄今帰仁方言辞典」、沖縄県伊良部島方言の「伊良部方言辞典」、沖縄県伊江島方言の「新版沖縄伊江島方言辞典」、鹿児島県与論島方言の「与論方言辞典」を横断検索できる。
検索方法は標準語、琉球方言、類義語から可能。今後は沖縄県伊是名島、石垣島、竹富島、与那国島の4方言辞典も検索対象に加えることにしている。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は2009年、琉球列島で使用されている複数の方言が消滅の危機にあると警鐘を鳴らした。今回のウェブサイト開設は島や地域ごとに異なる琉球列島の方言を保存・継承する狙いがある。
琉球列島の方言については、1921年に沖縄学の父と呼ばれた伊波普猷氏、その遺志を継いだ仲宗根政善氏らが辞書化を計画したが、琉球列島全体を網羅したものは誕生しなかった。