リクルート進学総研は、高校の教育改革の実態を明らかにするため、全国の全日制高校を対象に、新しい学習指導要領、入学者選抜、ICT活用、キャリア教育、進路指導、学校改革などに関する調査を実施した。

 調査によると、「総合的な探究の時間」への取り組み状況については、最も難しいと感じるステップは「課題の設定」が6割を占めた。「3年間通して探究する姿勢を身に付けてほしく、また成果物を推薦入試の材料にしたいと考えている。そのため、結論がすぐ出るような課題や、逆に高校生では理解できない専門的な知識を求められる内容の課題を設定すると、探究の意味を成さず、成果物も中途半端に終わる」(沖縄/私立/普通科)など、カリキュラムとして成立させるための難しさが伺える。

 取り組みによる生徒の変化として「そう思う」割合が最も高いのは、「主体性・多様性・協働性が向上した」が14.4%で、「ややそう思う」まで含めると合計66.9%だった。取り組むにあたっての課題は「教員の負担の大きさ」が82.4%でトップ。以下、「教員間の共通認識不足」(50.5%)、「教員の知識・理解不足」(49.4%)と続いた。「1年間で完結させようにも、学年全体を俯瞰して計画を立てる立場に立つことがとても難しい。また、本来ならば3年間で完結させたいところ、人事異動や配置転換を予想し、こちらもまた全体を俯瞰して計画を立てることがなお難しい」(埼玉/県立/普通科)といった声も上がっている。

 「入試の早期化」については、「あまり好ましくない」が48%で半数近くを占め、「非常に好ましくない」と合わせた「好ましくない・計」は63%で、6割以上が「好ましくない」と回答している。設置者別にみると、国公立、私立ともに「好ましくない・計」が6割を超え差はないが、高校所在地別にみると、東海、関西で「好ましくない・計」の割合が7割以上で高く、一方で北海道、東北、九州・沖縄では5割台と低く、地域差がみられた。

 入試の早期化を「好ましくない」とする理由について、「教員の負担が大きい。合格後の学習意欲の喪失が著しい。基礎学力が大きく、確実に低下する」(大分/県立/普通科)、「早期に決まる生徒と一般入試まで取り組む生徒が混在することによる授業や指導のやりにくさがある」(滋賀/県立/普通科)、「生徒の学力格差、低学力生徒の増加。“Fラン大学”の年内入試は、ほぼ学力不問といっていいものが多く、ほとんど誰でも受かる状態であり、低学力生徒を生み出すだけの入試だと感じる。その一方で、志望理由書などの作成に教員の時間が割かれ、肝心の教科学習に力が注がれず、大学の入学定員確保のためだけの入試となっており、生徒や高校現場にとって得なことはほとんどないと感じる」(広島/県立/普通科)などの声が上がった。

参考:【リクルート進学総研】高校教育改革に関する調査

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。