全国の小学校から大学、専門学校までの学費を検索・比較できるサイト「学費ナビ」を運営する株式会社アイガーが、全国の私立大学577校3,801学科の学費を調べたところ、初年度納入金で844学科(107校)、卒業までの総額で24%の906学科(116校)が値上げしていることが明らかになった。第1回調査(2021年度実施)の18%から6ポイント増えたうえ、初年度納入額を値上げした学科・大学を上回っている。

 初年度納入金を値上げしたのは844学科(107校)で、内訳は値上げ幅5%未満が604学科(81校)、5%以上が240学科(37校)。これに対し、値上げなしは2,957学科(470校)、うち値下げしたのは88学科(22校)だった。しかし値下げした学科のうち約6割にあたる53学科(11大学)では、卒業までの総額を引き上げるいわゆる「実質値上げ」となっている。

 卒業までの総額では、5%未満の値上げが620学科(90校)、5%以上の値上げは286学科(41校)の合計906学科(116校)。値上げしなかったのは2,895学科(461校)で、うち19学科(12校)が値下げした。

 値上げした学科の総額の平均は概算で、文系では人文社会系の学科が平均17万8,000円、社会科学系17万6,000円、理系では理学系21万1,000円、工学系20万2,000円となり、文系より理系の値上げ幅が大きい。

 私立大学が値上げ基調となっている背景には、昨今の物価上昇で人件費、光熱費、通信費、教材費などが高騰していることに加え、18歳人口の減少に伴う学生数の減少で1人当たりの学費を上げざるを得ないこと、グローバル化やデジタル化の進行で留学生受け入れ費や情報通信設備のインフラ整備が増えていることなどが挙げられている。

 「私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査」(文部科学省)の平均学費の推移を見ると、2015以降は毎年ゆるやかに上がり続けている。初年度納入額は2024年度は2021年度から8,201円(0.6%)と平均の増加幅は小さく見えるが、実際に値上げした大学を個別にみていくと大きな差がある。また、入学金は下がり続ける一方で授業料は値上がりが続いており、総額としては実質的な値上げとなっている場合が含まれる。

参考:【株式会社アイガー】私立大の24%の学科で学費引き上げ 25年度物価高が学費を直撃!実質値上げの傾向鮮明に 学費ナビ 第2回学費実態調査(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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