三重大学(三重県津市)の伊藤正明学長は、JR四日市駅前の新拠点設置について、四日市市が検討を遅らせることを表明したのを受け、公式な検討を2年間休止する考えを明らかにした。
2022年から、四日市市は中心市街地再開発プロジェクトの一つとしてJR四日市駅前への大学設置を検討開始。2023年度には基本構想を策定した。
2024年2月に三重大学と『JR四日市駅前における三重大学新教育研究拠点の設置に向けた検討着手の連携協定書』を締結。2024年度には四日市市大学基本計画策定委員会を設置し3回の委員会が開催された。
設置形態としては国公立大学の設置や既存の私立大学の移転、または複数大学による大学間連携を検討しており、2024年度末をめどに結論を出すべく、大学の教育研究分野、学部構成、定員等の検討とともに施設の規模、配置等の基本計画を練ってきた。
しかし、四日市市より、協定締結時に想定していた施設整備スケジュールが2029年度から2031年度以降にずれこむ見通しが示された。そのため、伊藤学長の任期が2026年度までであることを踏まえ、次期学長の体制下で設置の可否について判断することが適当であるとして、それまでの間は検討を休止することにした。
なお、2025年度入試において三重大学は工学部総合工学科を入学定員30名増とともに改組。総合工学コースを廃止して、募集人員40名で電子情報工学コースを新設。情報工学コースは35名増やして募集人員を95名へ、他コースも募集人員を微増させた。国立大学で入学定員を増やしているのは、情報分野に限定されている。
三重大学のJR四日市駅前の新拠点設置検討は2年間休止されることになったが、次期学長のもとで検討再開時にも、どの分野のどのコースを移転させるのか、研究室単位で移転させるのか、移転自体が難しいのかなど、大きな議論になることは間違いなさそう。
参考:【三重大学】四日市新拠点について
【四日市市】四日市市大学基本計画策定委員会
【四日市市】四日市市大学設置に係る基本構想(PDF)
【三重大学】令和7年度 工学部改組について