ノルウェー科学人文アカデミーは「数学のノーベル賞」と呼ばれるアーベル賞に京都大学の柏原正樹数理解析研究所特任教授・高等研究院特定教授を選んだ。2002年にアーベル賞が創設されて以来、日本人の受賞は初めて。表彰式は5月、ノルウェーであり、日本円で約1億700万円相当の賞金が贈られる。
京都大学によると、柏原教授は茨城県結城市生まれで、大阪府池田市出身の78歳。東京大学理学部を卒業し、東京大学大学院理学系研究科の修士課程を修了したあと、名古屋大学理学部助教授、京都大学数理解析研究所教授などを経て2001年から京都大学数理解析研究所所長を務めた。
専門は代数解析学。代数解析学で重要な役割を果たす「D加群」と呼ばれる理論を確立し、ノルウェー科学人文アカデミーから高く評価された。これまでに朝日賞、日本学士院賞、藤原賞などを受けている。
京都大学の湊長博総長は大学ホームページで「この賞は傑出した業績をあげた数学者に贈られるもので、京都大学だけでなく、日本中の学生や若手研究者の励みになる結果だと確信している」とするコメントを発表した。
アーベル賞はノルウェー出身の数学者、ニルス・ヘンリック・アーベルにちなんで傑出した業績をあげた数学者に対して贈られる賞であり、フィールズ賞と並んで数学のノーベル賞とも称されている。