仁科記念財団は、2016年度の仁科記念賞を高柳匡京都大学基礎物理学研究所教授(41)に授与すると発表した。業績題目は「ホログラフィ原理を用いたエンタングルメント・エントロピー公式の発見と展開」。

 量子力学の基礎などで重要な役割をしている「量子もつれ」と呼ばれる現象を画期的な公式で説明した業績が高く評価された。授賞理由となった業績題目は「ホログラフィ原理を用いたエンタングルメント・エントロピー公式の発見と展開」で、高柳教授は、物理学の重要理論「超弦理論」で理論的に示されていた「ホログラフィ原理」に着目し、同原理を使って微小な粒子状態が相関する状態になっているとされる量子もつれ現象を計算する公式を考案した。高柳教授らが貢献した研究分野は、量子重力理論や超弦理論などの量子力学の基礎になると注目されている。

 仁科記念賞は、原子物理学者であった故仁科芳雄博士(1890~1951年)の功績を記念して1955年に創設された。原子物理学とその応用分野での優れた研究業績をたたえるという趣旨のもと受賞者が選ばれる。これまでの受賞者には、江崎玲於奈、小柴昌俊、小林誠、益川敏英、中村修二、梶田隆章の6人のノーベル物理学賞受賞者がいる。

 今回の授賞式は2016年12月6日に東京都内で行われる予定。高柳教授には賞状、賞牌と副賞50万円が贈られる。

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