2025年3月26日、学校法人新潟科学技術学園は理事会において、2026年度以降の新潟工業短期大学(自動車工業科:入学定員120名/専攻科:入学定員10名)の学生募集の停止を決定した。

 新潟工業短期大学は、1968年北都工業短期大学(自動車工業科)として開学し、1982年に現校名となっている。50年以上もの間、自動車整備を主とした専門人材を内外に輩出し、近年では東南アジアを中心とした諸外国における自動車の普及に伴う自動車整備に従事する人材需要に応えるため、外国人留学生の受入れを行ってきた。新潟市西区にあるキャンパスは、JR越後線「寺尾」駅から徒歩20分の立地にあり、新潟大学が近いことから、新潟市内では最も学生が多い学生街として施設やアパート物件が充実した環境になっている。
 
 しかしながら、少子化の加速、4年制大学志向の高まりに加え、自動車整備士の志望者減少や新潟キャンパスの著しい老朽化などの要因が重なったことから、2025年度入学生を最後に、学生募集を停止するという決断に至った。

 新潟科学技術学園によると、今後は新潟工業短期大学のDNAを設置校の一つである新潟薬科大学に受け継ぎ、2027年度に「新潟科学大学(仮称)」へと発展的に改称して総合大学としての歩みをスタートする。同年度に「食農情報学部(応用生命科学部から名称変更予定)デジタル・グリーン学科【入学定員55名】」と「医療技術学部救急救命学科【入学定員40名】」の2つの新学科を構想しており、JR新津(にいつ)駅前には、新津駅東キャンパス(新潟市秋葉区)を新設する計画がある。
 
 国土交通省の資料によれば、自動車整備士養成施設は、整備専門学校などの一種養成施設(約230施設)と実務経験者向けの二種養成施設(53施設)、そして国土交通大臣が定める自動車に関する学科を有する大学(13大学:2024年3月末時点)がある。

 自動車に関する学科を有する13大学のうち短大は全国に5校。新潟工業短期大学(新潟県新潟市)の他には、中日本自動車短期大学(岐阜県加茂郡)、高山自動車短期大学(岐阜県高山市)、愛知工科大学自動車短期大学(愛知県蒲郡市)、徳島工業短期大学(徳島県板野郡)がある。1969年に全国自動車短期大学協会が発足し、教養豊かなオールラウンドの自動車整備士を育成している。

 現在の自動車整備士養成施設の学生募集は、日本人の志願者は増えていないが留学生には人気が出ている状況。教員を多く配置しなくてはならないという点はあるものの、全体でみれば極端に悪い結果にはなっていないようだ。学校基本調査で見ると、コロナの影響があった2022年度・2023年度を除けば、専修学校専門課程「自動車整備」の2024年度入学者は8831名で、10年前の2014年度入学者8956名とほぼ変わっていない。

 ただし、同法人の中で大学を設置している場合は、短大の学生募集が極端な不調でなくとも、資源を大学の方に集中するという考え方も出てくる。今回の新潟工業短期大学の募集停止は、このケースにあたると考えられる。

参考:
【新潟工業短期大学】新潟工業短期大学の学生募集停止について
【新潟薬科大学】「新潟薬科大学将来計画(大学名称の変更、応用生命科学部の学部及び学科名称 の変更、並びに新学科設置計画等)」の決定について
【国土交通省】自動車整備士養成施設について

新潟薬科大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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