大阪公立大学の研究グループは、大腸内視鏡検査の前処置法として、慢性便秘症治療薬であるリナクロチドの併用が有効であることを証明した。

 大腸内を内視鏡で観察する大腸内視鏡検査前には、腸管をきれいにするための前処置が必要で、一般的にはポリエチレングリコール腸管洗浄剤(PEG)4Lか、アスコルビン酸を含むPEG製剤(PEG-Asc)2Lを服用し、腸管を洗浄する方法が用いられる。しかし、どちらも飲む量が多いため、患者の負担が大きいことが課題である。

 そこで本研究グループは、過去の研究でPEG-Ascに刺激性下剤のセンナを併用する方法を考案した結果、PEG-Ascの服用量を2Lから1Lに減らしても、洗浄力を保てることを実証した。ところが、センナを使った場合、腹痛を感じる人の割合が多く、便秘症の患者に対しては洗浄効果が不十分であるという課題が残った。

 これらの課題を解決するため、今回は、慢性便秘症の治療薬であるリナクロチドに注目した。日本国内の5つの病院において、大腸内視鏡検査を受ける1,464人を対象に、前処置法としてPEG-Asc 1Lにリナクロチドを併用するリナクロチド群(731人)と、センナを併用するセンナ群(733人)の効果を比較した。

 その結果、前処置成功率はリナクロチド群で92%、センナ群で86%となり、リナクロチド群の方が洗浄力が高いことが示された。一方、患者の負担や辛さの程度(忍容性)に大きな違いはなかった。さらに、年齢や併存疾患などが原因で腸がきれいになりにくい(前処置不良のリスクが高い)患者においては、リナクロチド群の方が有意に前処置成功率が高いことがわかった(リナクロチド群:94%、センナ群:86%)。

 これらの結果から、リナクロチドを補助薬として用いる前処置は、洗浄力、安全性、忍容性を兼ね備えた理想的な低用量前処置法となる可能性が示された。特に、前処置不良リスクの高い患者に有効な可能性がある。本研究成果は、効果的で負担の少ない前処置法の確立、ひいては大腸がんによる死亡率の低下につながることが期待される。

論文情報:【American Journal of Gastroenterology】Efficacy of 1 L polyethylene glycol plus ascorbic acid with linaclotide versus senna for bowel preparation : A multicenter, endoscopist -blinded, randomized controlled trial (Apple trial)

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大阪公立大学は、2022年4月より、大阪府立大学と大阪市立大学が統合し開学しました。ともに約140年の歴史ある大学で、12学部を擁す総合大学で、学生数は約1万6千人。全国最大規模の公立総合大学です。大都市大阪に人や社会、都市、世界を結びつける新たな"知の拠点"[…]

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